諸葛瞻は小さい頃に諸葛亮の跡目争いに巻き込まれて孤児になり、
年が10違う兄(この兄も跡目争いに巻き込まれ逃げた)と一緒に暮らしていた。
2人は父諸葛亮の形見の木像を大事にし、一人前(諸葛瞻16歳)の時に跡目争いの終わった蜀に復帰する。
でも入蜀後「おにいちゃんおにいちゃん」と慕っていた大好きな兄は過労で死去し、その遺言書には衝撃の事実が書かれていた。
内容は「瞻は実は女なんだ」というものだった。
諸葛瞻は自覚はしていたが兄も知っていたとは知らず驚いたが、
周りの人間には自分が女であることを貫き通すため、一人称は「僕」に固定した。
そして父の形見の木像を持って、戦場に繰り出した。


しかし途中で道に迷ってしまった諸葛瞻は城に戻ると、
そこには魏のケ艾と名乗る者からの使者が来ていた。
その使者は蜀の諸葛瞻の家来達が見守る前では愛想良く振る舞っていたが、
諸葛瞻と秘書とその使者の3人だけになった時に、封書を諸葛瞻に渡した。
差出人はケ艾となっており、内容は諸葛瞻の背筋に衝撃が走る、ぞっとするものだった。
「お前がいくら隠そうとしたって女だということは俺は知っている。これを仲間達にばらされたくなければ、俺を王と認めて降伏しろ。
もし従わない場合、お前の身はどうなっても知らんからな?」
この手紙を読んだ瞬間諸葛瞻はみるみる顔が赤く染まっていった。
使者は「では私は帰ります。ケ艾殿からは私は蜀で斬り殺された事にしろ、と言われております。
御手紙の内容は存じませんが、ケ艾様は一度言った事は曲げない御性格ですので」
と言い残し城を後にした。
そして諸葛瞻は泣き崩れた。
夜、諸葛瞻はベッドの中で思い悩んでいた。
(ケ艾という者を早く倒さないと僕が女だということがばらされてしまう。でも降伏が蜀の皆にとって幸福なこととは思えない)
そして魏のケ艾に戦線布告の文書を送った。
諸葛瞻18歳の時の出来事である。


諸葛瞻が魏の使者を斬り殺したという偽の情報は使者自身の謀略により、
すぐに蜀全土に知れ渡り、これによりケ艾には諸葛瞻を辱める絶好の大義名分が出来上がった。
ケ艾は屈強な男達ばかりを本部隊を揃え温存し、敢えて緒戦は弱小の寡兵部隊で諸葛瞻を油断させる作戦を考えた。

一方、時を同じくして諸葛瞻は、蜀内での魏の使者斬殺の噂によってノイローゼになっていた。
あまりにも諸葛瞻が可哀想に思えた秘書は、進言した。
「噂はいずれ収まります。
 諸葛瞻様が女性であることは驚きましたが、実は私も以前から少しそうではないかと思っていたのです。
 しかし蜀の民に貴女が女性であることを知られると以前の様な内部での権力争いが起こってしまいます。
今呉国でその様な事態が起こっておりますが、権力争いにより内政・外交共に国の不安定化と不秩序をもたらしています。
わが国にこの事態を起こる事を防ぐ手だてはケ艾めを倒すことしかないでしょう」

諸葛瞻は唯一の理解者の励ましに安堵しすんすん泣いた。
そしてケ艾を倒す為、部隊を編成した。
決戦の時は間近に迫っていた。

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